旅の醍醐味

 この写真は、那珂川の新幹線車両基地でたまたま見かけた光景です。
 夜明け前、出発を待つ新幹線がズラリ線路に待機しているさまは圧巻。興奮して何枚も写真を撮っている私のすぐそばを行き過ぎる人の群れは、こんな光景は毎日のことなので、なんの興味も示さずに足早にホームの奥へと去っていきます。

 私は「鉄っちゃん」ではありませんが、旅と言えば、なんといっても列車の旅が、一番旅情をそそられます。
 この写真の、しんと沈んだ空気の中、静かに自分の出番を待ってスタンバイしていてる列車の姿もそうですが、
 駅のホームから滑り出すように走り去る列車、それを見送り、運転手に敬礼する駅員の姿を見ると、意味もなくじーんと体が震えます。
 車窓から見える田園風景の農道を、必死で自転車をこいでいる学生さん、たまーに列車に気づいて手を振ってくれたりもしますよね。
 山口でSLに乗ったときは、窓から顔を出したらススが目に入って、ひどく痛かったのも旅の思い出。機関車の、あの「ポッ」という汽笛は、私の中の原風景ならぬ原音楽です。
 
 普段は私の知らないところで日々同じことをしている人々、彼らにとってはそれは当たり前の日常で、見ている方の私たちも、もしかしたら普段は見過ごしているのかもしれない光景を、旅先では、なぜか新鮮な驚きをともなって発見できる。

 これこそが、旅の醍醐味なのでしょう。

この写真は、那珂川の新幹線車両基地でたまたま見かけた光景です。... - 住まいのリフォーム 設計・施工 (株)テイキング・ワン | Facebook