リフォーム 3つのキーワード
寒いですね〜。
今年の冬は暖冬らしいですが・・・
ブルブル。
今日の寒さで暖冬と聞いてもまったく想像できません。
2014年の漢字は「税」だそうですが、このところの天候をかんがみるに、「荒」ではなかったろうかと物思う師走です。
師走という語句は当て字だそうですが、世間を見渡すと、年末に向けてみんな走り回っているように感じるのは、自分が忙しいからでしょうか(^^)
さて、おかげさまでテイキング・ワンは今年もたくさんの方に住宅の相談をいただいて、大きな工事、小さな工事で1年間忙しくさせていただきました。
お世話になった皆様、本当にありがとうございました。
来年も各地でリフォーム相談会を開催します。
この仕事をしていて本当に思うのは、住宅のことでお困りのことがあっても、どうすればいいのかわからないので、なかなか相談しにくい方が、まだまだたくさんいらっしゃるなあ、ということです。
特に多いのが、
「寒い」
「古い」
「不便」
この3つのキーワードです。
キーワードだけ並べると、あっけなく感じますが、この3つの内容は、お客様によって千差万別、さまざまな住宅のお悩みがあります。
そしてその悩みは、具体的にはなかなか言葉になって出てこない性質の、潜在的な悩みであることが多いのです。
それって、どういうことなのか、今後時間をみつけながらボチボチ書き足して行きますので、気長にお待ち下さいませ。
1.「寒い」
寒さの改善 → 断熱リフォーム
このリフォームの良さをお伝えするのは本当にむずかしいです。
冬は寒いのがあたりまえ、と感じてらっしゃる方が多いからです。
たとえば現代の北海道の住宅は、高断熱高気密に設計されていて暖房がよくきくため、室内では真冬でもTシャツ1枚ですごしている方が多いそうです。
しかし江戸時代、開拓のため北海道に移り住んだ日本人は、寒さのせいでたくさんの方が亡くなりました。
高温多湿な気候向けだった日本の住宅を、そのまま厳寒の北海道で建てたからです。
一方福岡では、そこまで寒くないため北海道のような住宅文化が普及せず、本当に寒くなってくると暖房をガンガン入れて燃料を消費するか、または多少寒くても我慢をしています。
だから北海道の人が福岡にくると、「福岡の方が寒い」と言います。
寒冷地とそうでない地域との住宅文化は、それくらい違うものなのですね。
健康なうちは、我慢もそうつらくありません。
でも、ちょっと風邪をひいただけでも、寒さは体にこたえます。ふだんはなんともない寒さが、こんなにも骨身に響いてくるんだとお感じになられたことはありませんか?
そう、寒さを我慢することは、健康を害することなのだということに、ふだんは気づかないのですね。
隙間風の吹く家は、断熱内窓を取り付ければ隙間風は入らなくなります。
床下から寒気が吹き込んでくるなら断熱材で緩和できます。
風呂場が暗くて冷たいなら、高断熱浴槽のユニットバスにリフォームして体をやさしく温めます。
これら寒さの改善、いわゆる断熱リフォームをして、一番快適なことは、
「暖房をガンガンいれなくていい」
というところです。
冬場、雨戸を閉めただけで、暖房がすぐに効き、しかも暖かさが長続きする、という経験をされた方も多いでしょう。
雨戸を閉めることによって、窓ガラスとの間に断熱層ができ、外の寒気がガラス伝いに直接室内に流れ込んでくることを防ぐからです。
断熱内窓は、まさに同じ原理で、しかも雨戸とは比較にならないくらい高気密に風や寒気を防ぎます。
高断熱浴槽のユニットバスにすれば浴槽のお湯が長時間さめにくく、体が芯まで温まる上、光熱費も節約できます。
冬は寒いのがあたりまえだけど、家の中では健康のためにも断熱リフォームを積極的に取り入れていただきたいと思います。
断熱リフォームは、優しいリフォームだと思います。
2.「古い」
古いと一概に言っても状態はさまざまです。
100年近く経過しても充分に住める状態の木造住宅も存在しますし、40年しか経っていないのにぼろぼろになってしまった住宅もあります。
しっかりとした造りの家は、住んでいる人が手をかけてメンテナンスすれば、長く持たせることができます。
しかしながら昭和56年以前に建てられた「新耐震基準」を満たしていない住宅は、今から手を入れて長持ちさせようとすると家の基礎や壁を扱う必要が出てくるので、多額の費用がかかります。
家全体の長持ちのことはあまり考えす、便利に快適に暮らすためのリフォームをするなら、間取りを変えたりキッチンを新しくしたり・・・ということに費用を充てられます。
そうは言っても、たとえば雨漏りしたり壁にヒビが入ったり、という症状があるなら、外まわりのメンテナンスが必要ですね。
その際も部分補修が可能な場合もありますので、とにかく住宅全般に精通した信頼のおけるリフォーム会社に相談して下さい。そうでない人に相談したら、「屋根を全部葺き替えなくちゃだめ」とか「これは大がかりな工事が必要です」と言われて、本当はしなくてもいい工事に大金を支払うことになりかねません。
住宅の状態、今後の方針、限られた費用の中でなにを優先してリフォームするか。
住宅改修の際には、そういった話をしながら計画をすすめていきます。
最近ご相談のあった例をお話します。
築後40年以上たったお宅です。
15年ほど前にキッチンリフォームをされました。そのとき床も一緒にリフォームをおすすめしたのですが、大きな食器棚や冷蔵庫、書棚などがあるため、床を扱うのはたいへんだということで、そのときはシステムキッチンの取替だけをされました。
いま、キッチンの床はブカブカとなってしまい、いよいよ床もリフォームしなければいけないかなあ・・・というご相談です。
床はかなりいたんでいるので、一度キッチンをはずして床の下地まで取り替えないと改善できない状態です。
15年間使ったキッチンは、一度はずすとダメージがひどく、水漏れなどが心配です。なのでキッチンの下台だけ新しい商品に取替た方が良いと考えました。
ただ、そうなると金額が予定以上にかかりますし、お施主様の年齢も高いので、どうするかは別居されているお子様達と相談していただくことにしました。
「15年前に床もリフォームしておけばよかったわ。やっぱり必要なことはあとに残しちゃだめね」
と、おっしゃったお施主様の言葉が印象的でした。
古い住宅のリフォームは、すべてが丸くおさまるということがないので、むずかしい問題をはらみますが、その点を理解いただいた上でリフォームすれば、画期的に良くなって暮らしが楽しくなるのも事実です。
3.「不便」
リフォームを考えたとき、まっさきに思い浮かぶのが「収納」という方が多いそうです。
私の娘などは、新聞折込の建て売り住宅の間取り図など見ては、「収納が少ない」だの「これじゃ家具が置けない」だの勝手なことを言っています。
たしかに、物を置けない間取り や、収納が少ないプランというのはあり、じゃあ、それをリフォームでどう改善するか、ということになると、これはやりがいのある仕事でもあり、設計者泣かせでもあり。
不便を解消するリフォームでは、アイディアが物を言います。
たとえば、キッチンのすぐ近くに洗面所と洗濯機があれば、家事がスムーズに運びます。
勝手口の上にテラス屋根があれば、ゴミ出しや物の出し入れが楽になります。
寝室の押入を3枚引き戸のクローゼットにすれば、タンスがいらなくなって部屋がすっきりコーディネートできます。
和室の障子をはずして、障子タイプの断熱内窓を取り付けたら、障子紙が破れる心配もなく、当然障子の張り替えの手間もなくなり、しかも断熱性が向上する。
バリアフリーのサンルームを設置したら、洗濯物を干して外出しても雨の心配もなくなり、カラッと乾く。
システムキッチンに取り替える時、キッチンとおそろいの家電収納を取り付けたら、驚くほど家事がはかどるようになった。
これ、今まで実際にリフォームして便利になった施工例なんですけど、ひとつひとつ思い出しながら書いていたら、きりがないと思います。
生活の中の不便は、たくさんあります。
その中で、「これだけは便利にしたい。でもDIYでは実現できない」という部分を、お金をかけて工事します。
でもそこで、
ちょっとだけ、待ってください。
「プロの知っている便利は、みんなの知らない便利」
なんだか思わせぶりな表現でいやらしいですね(^^)
でも、そういうシーンがよくあります。
リフォームを依頼されたとき、「せっかくここをリフォームするなら、一緒にこれをやっておけばものすごく便利になる」という提案が、プロにはあります。
それまでに何件も何件もリフォームしてきて、経験が蓄積されているので、「ここはぜひ」とおすすめしたいリフォームがあるのです。
でも、それを聞いたお施主様が、
「そんなものいらない」
と思ったら、無理にすすめることはできません。
「古い」の項でご紹介した床ブカブカもそうでした。
キッチンと一緒に床もリフォームしておいた方が将来的に良いとおすすめしても、お施主さまの気持ちが動かなければ無理には工事できないのです。
予算もあります。
だから、こちらの提案をお聞きくださったのちに、「それは今回はしない」と言ってくださるのは、当然のことと受け止めています。
なにを不便と感じるかも、ライフスタイルや環境によって千差万別なのですから。
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以上、ここまで書いて再認識したのは、リフォームとは、完成するまで目に見えない創造物である以上、結局は、お施主さまとリフォーム会社との良い関係こそが、良い結果=良いリフォーム を生み出すのだなということです。
リフォームをお考えのみなさまに、このブログが少しでもお役にたてれば幸いです。
記 2015.02.26